プラチナバンドが欲しい、というのが、楽天モバイルの率直な声ではないでしょうか。
総務省が、東名阪以外の1.7GHz帯を5Gの追加周波数として割り当てる計画を発表しました。希望してきた1社に対して、総務省が審査し、判断する模様です。
人口密集地の東阪名以外、というエリアで、1.7GHz帯を欲しがる事業者がいるのか、というポイントがありますが、当面は、4Gの利用も可、という条件を踏まえると、既に1.7GHz(Band3)で運用している楽天モバイルを落としどころにするのは、既定路線のように思います。
楽天モバイルからすると、本来は800~900MHz帯のいわゆるプラチナバンドが欲しいのでしょうが、直進性が強い1.7GHz帯であっても、利用者が増加するにつれ、帯域がタイトになってくるため、少しでも確保しておきたい、恐らくそう考えているのではないでしょうか。
電波の帯域というのは、よく高速道路に例えられますが、現状、楽天モバイルが1車線だとすると、それを地方では2車線にする、そういった意味合いがあります。KDDIは700MHzと1.7GHzを5Gに転用する見込みなので、楽天も1.7GHz帯を5Gに利用したい、と思うのは、自然な流れでしょう。
プラチナバンド
しかし、やはり5Gのエリア発展がなかなか見込めない中では、4Gで利用されるプラチナバンドがないと、利用者側からして、よく繋がる携帯キャリア、という印象は生まれにくいのではないかと思います。
むしろ、3キャリアがよく繋がっているため、相対的に「繋がらない楽天モバイル」、そのような印象を持たれてしまい、マーケティング上、不利なポジションになります。そのイメージを覆すためだけに、広告を投下したりと無駄な費用がかかってしまいます。
以前のプラチナバンドの割当ですが、最近ですと2012年に実施されました。
その時は、ソフトバンクモバイルに割り当てられました。
当初から、NTTドコモとKDDIがプラチナバンドを保有するのに対し、競争上不利だ、という主張を、孫社長(当時)が展開し、テレビの地上デジタル放送の転用で空いた帯域を、手に入れた、という経緯があります。
孫社長の嬉しそうな顔ですが、ほんとつい最近のように感じますね。
今ではソフトバンクビジョンファンドと切り分け、ソフトバンクグループ、ソフトバンクと上場会社も分けており、ソフトバンクモバイルの事業に顔を出さなくなりましたが、当時はiPhone4Sが発売され、かなり通信事業に力を入れていたことが伺えます。
プラチナバンドという目に見えない電波を宣伝するために、SMAPが「プラチナバンド」という言葉に合わせて、歩き回るCMを見ていた方も多いのではないでしょうか。それほど、帯域というのは通信キャリアにとって、サービス満足度に直結するくらい、重要な変数なのです。
楽天モバイルとは異なり、ボーダフォンを買収して、基地局がある状態からスタートしたソフトバンクモバイルも、プラチナバンド取得で、2年間で数兆円の設備投資が必要だったと言われており、それほど通信事業は体力が必要な事業だと分かります。
いまプラチナバンドは大手3社に利用され、既に満枠なので、携帯事業だけに限ると、どこかの会社が周波数を返却するように政府から指導を受けるしか、楽天モバイルが利用する可能性はありません。それか、地デジの際のように、電波の整理が行われ、楽天モバイルに付与される、そういった展開でしょうか。
815MHz~960MHz帯で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクはそれぞれ2つずつ帯域が与えられています。
いずれにしろ、幾ら楽天モバイルが基地局を立てても、WiMAXを利用した時にどことなくデータ通信がしづらく感じた時と同様に(WiMAXは2.4GHzを割り当てられています)、不便な感じで携帯通信をしないといけません。
以前はPC接続の際にそのように思っただけでしたが、今では生活に入り込んでいるスマホで電波を利用するため、その苦痛は以前とは比較にならないほどでしょう。
総務省としては、MNPの手数料無料だったり、キャリアメールのアドレス維持など、施策を考えていますが、より公平な競争を促すために、きちんとプラチナバンドの周波数帯を割り当てるようにして欲しいところですね。
そうしないと、楽天モバイルが本当の意味でMNOのスタートラインに立つことは出来ないと思います。
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