2019年8月20日に、米国で一般の方への提供が開始された「Apple Card(アップルカード)」。このApple Cardとは、米Appleが、大手金融機関であるゴールドマン・サックスと共同で発行しているクレジットカードのことです。
公式ホームページで、Appleは、これは銀行が発行したカードではなく、我々が再発明した新しいクレジットカードだ、と語っています。
既に米国では消費者に流通していることもあり、Apple Cardの機能やソフトウェアは、公式サイトやYouTubeに数多くの動画が掲載されているので、そちらをご覧いただきたいと思います。今回は、なぜプラスチックではなく、チタンに拘ったのか、について、自分なりに考えてみました。
このカードの材質はチタン製なのですが、日本で発行されているカードでは、アメリカン・エキスプレスのセンチュリオン・カードや、プラチナ・カード、もしくは、ラグジュアリーカードしか金属製が提供してされていないのです。Appleが、なぜ金属製のカードを提供したか、その理由を推測してみました。
考えられる理由
- 物理カードの摩耗に耐えられる
- 優れたデザインで発行できる
物理カードがチタンであれば取り替える必要がゼロ
従来のカード会社が採用するプラスチック製のカードと比較して、チタン製はコストがかかると思われます。本当にコストが安ければ、すべてのカード会社が採用していると思いますが、上位2社、特に富裕層向けカードを担う会社しか採用していないため、恐らくコストがかかると予想できます。
しかし、プラスチックカードである場合、次の難点がどうしてもつきまといます。
- 数年の利用で券面が汚れたり、摩耗して削れる
- プラスチック故に、曲がってしまう可能性が高い
従って、どうしても数年で取り換える必要がでてしまう。
Appleは、このApple Cardでカード番号を具体的に記述することをやめました。カードの券面にあるのは、たったの「個人名」だけです。カード番号の確認などは、個人のiPhone経由で確認することができます。
Apple Cardの場合、ソフトウェアでカード番号を管理・発行できるため、券面には個人名だけで済み、カードを定期的に交換する必要もありません。カード会社のコストになり得る、物理カードの手間を、こうやって乗り越えるには、むしろ金属製のカードしか手段がなかったのだと思われます。
ちょうど、私も、5年使ったクレジットカードの交換の時期で、旧カードを裁断したのですが、こういう無駄なストレスを回避することが出来ます。なぜカード番号が変わらないのにカードを交換しているのか・・・。この点、さすが、世界屈指のテクノロジー企業Appleだと感心しました。
優れたデザインで発行できる
カッコいいから。ファッション面での理由も多分にあると思いますし、消費者への訴求はデザイン性がメインになると思います。
私もまだ現物を見たことはないのですが、AppleはパーソナルコンピュータのMac製品の加工を長年実施しており、アルミの大量加工も既に実現しています。金属加工技術については、かなりの知見があるのではないでしょうか。質感含めて、個人の所有欲を満たしてくれるカードなのだろうと想像しています。米国Appleに勤めている友人、もしくは米国在住のユーザの知人が帰国した際にでも、是非とも、見せてもらおうかと思います。
日本で発行するにあたってのポイント
米国では、ゴールドマン・サックスが金融システムを提供していましたが、日本ではどの企業がサービスを提供するのでしょうか。金融庁と、アップル双方の高い基準を満たすとなると、日本では、既存のビジネス提供者になるのでしょうか。
自社で、Apple製品を扱える訳ですから、多少不利な契約であっても、喉から手が出るほど欲しい製品であるのは間違いないと思います。問題は、既存のカードとの競合がどの程度起こるか、といったところでしょうか。iPhoneを独占契約してきた、ソフトバンクが導入したら興味深いですね。
ゴールドマン・サックスは超富裕層に注力するようなので、可能性は低いと読んでいます。
今後、特に、人生で初めてクレジットカードを持つという20歳前後の若者にとって、Apple Cardが魅力的なカードになることが予想され、これこそが普通のクレジットカードだ、従来のカードはレガシーだ、という風潮になる可能性すら大いにあるかと考えています。
券売機等に入れることもあるため、どこまで汎用性が高いカードになるかは未知数な部分もありますが、日本の文化を考えると、iPod、iPhoneのようにカードへのデコレーションがブームになることすらあり得ると思います。
当然、Appleは中期的には物理カードすら無くなる世界を想定してそうですね。私も、日本でカードが発行された際には、すぐに申込をする予定です。
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