楽天モバイルとアメリカン・エキスプレス

楽天モバイル

楽天モバイルは、第4のキャリアとしてサービスを展開していますが、新規参入したばかりなので、自社の基地局はまだ全国津々浦々まで整備できていません。

2020年7月時点で、そのカバーエリアのほぼ大部分は、ローミングサービスの提携をしているKDDIから間借りしている状態です。

将来的に人口カバー率を70%まで目指すと言われている中で、日本の大都市を制覇してまえば、面積ではなく人口という指標で達成できるため、非常に合理的だと、常々思っています。

しかし、携帯キャリアとして、日本のエリアで繋がらないことには、公共の電波として名乗るには、物足りない訳で、そのデメリットを補うために、KDDIからのローミングを実施して、基地局設備を間借りしている形をとっています。もちろん、楽天モバイルからKDDIに、1GB500円近いとも言われる金額をユーザー毎に支払っています。

他社に依存する形ではありますが、自社エリアが拡大していくまでの時限措置としては、有効な戦略だと思います。

似たような事例

ふと、楽天モバイルのこのKDDIから間借りするやり方と、似ているものがないか、考えていたら、カード事業がまさにそうだと、先日気が付きました。

私は、アメリカン・エキスプレスカード(アメックス)をよく利用しています。交際費だったり、旅行の際に使うことが多い、いわばトラベルカードなのですが、このアメックスも、他社のインフラを間借りして、サービスを行っています。

アメックスは、以前でこそ、使えるお店が少ないという評判がありましたが、昨今、カードが使える店舗を100%とした時に、VISA/Masterは100、JCBは90くらいの確率で使えることが多いですが、JCBとアメックスが提携したことにより、アメックスも90%ほどの確率で使うことが出来ます。

要するに、ほぼカードが使えるお店では、使えることが多いです。

これは、アメックスとしては、JCBと提携することによって、アメックスにとっては、自社で加盟店開拓をすることなく、基本的にはJCBが使えるお店であれば、アメックスを使えるという圧倒的な利便性が得られるメリットがあり、JCBとしては、自社が開拓した加盟店を、他社に開放することによって、提携分を含めた決済手数料の拡大が見込めると、まさにWin-Winの施策なのです。

当然、提携するにあたって、一定の費用を払ってはいると思いますが、これがまさに、楽天モバイルがKDDIに支払っている構造そのものだと、感じました。

日本では、ダイナースやディスカバーといったカード会社も、JCBとの提携を結んでいるそうです。また、加盟店相互開放も、日本国内と海外では契約が異なるみたいで、JCBとアメックスが提携しているのは、あくまで日本国内での話に限ったようです。

携帯事業は、総務省がかなり強い圧力をかけるので、どこまでローミングが続くかは読めませんが、同じように少数のプレイヤーしか存在しないカード事業で、特に自社で営業開拓をしないといけない制約がない場合は、このように競合他社同士が手を組んで、サービスを展開している、というのは、非常に興味深い点だと感じています。

ある意味、免許制事業に近い業態は、その事業を観察するのはとても面白いと感じた事例でした。

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