楽天と日本郵政が2020年12月に提携しました。
かねてから、私は、日本郵政という企業よりも、全国、津々浦々に設置されている郵便局が、とても貴重なリソースだと思っていたので、上手くいくかは置いておいて、この提携はとても上手くやったな、という印象があります。
日本には、2万4千もの営業中の郵便局があり、郵便は全国で同一サービスを展開することが郵便法によって定められています。
今回の提携は、主に物流での連携だと言われています。NHKの報道では、
日本郵便が持つ全国の物流網や荷物などのデータと、楽天が持つネット通販での需要予測、受注データの運用ノウハウなどを共有します。効率のよい配送システムを構築してより便利な受け取りサービスを提供することを目指し、両社で新会社を設立することも検討するとしています。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20201224/k10012781611000.html
と、昨今のコロナ禍で増加したネット通販に対処するために、データを共有することとで、効率的な配送網を整備することを目指しているようです。
一方で、報道にもある通り、日本郵政の増田社長は「金融やモバイルなどの事業分野でも幅広く提携を協議していく」と述べており、例えば、ゆうちょ銀行と楽天銀行、楽天モバイルの促進が考えられます。
郵便局が、楽天モバイルの携帯契約を受け付けるようにするのでしょうか。楽天モバイルのコストが安い理由は、テクノロジー自体にもありますが、NTTドコモ、ソフトバンク、KDDIのようにショップを持たないことで、人件費等が必要ないことが大きく、オンラインを中心とした契約は、その固定費の削減を大きく実現しています。
しかし、日本の消費者は、携帯ショップで契約することに慣れており、楽天が携帯事業をスケールする上で、物理的なショップが少ないことは、消費者のニーズと少しズレているところがあります。
携帯の契約自体は、とても面倒なので、郵便局の局員が須らく対応できるものではないと思うのですが、楽天のように「ワンプラン」で展開し、基本的にはネットで契約したものを、SIMカードを挿しかえるくらいの対応であれば、出来そうなのと、基本的に修理等は配送先で対応するようにすれば、郵便局のネットワークを活かせるとも思えます。
上手くいくかは全く読めませんが、面白い取り組みになるとは感じています。
また、楽天モバイルがエリア展開に苦労している原因である、基地局の設置は、2万5千局強を目指していますが、郵便局の建物の上に設置すれば、住宅街でのエリア拡大への進捗も見込まれます。
楽天モバイルは、文部科学省と連携し、全国の学校を対象に、楽天の基地局を敷地内に設置すれば、学校までの光回線を無償提供する施策を始めています。楽天にとっては、一石二鳥の施策で、学校内のネットワークを構築しつつ、自社の基地局整備を行うというものです。
郵便局も、公的な施設なので、上記の学校施策と似たような形になるかもしれませんね。
色々批判もされていますが、後発ならではで、全てうまく実現できれば、との注釈はつけますが、抜け目がない戦略だと思います。
2021年は、楽天にとってahamoなどの競合が出てきて正念場になるか、それとも飛躍の年になるのか、興味深く見守っていこうと考えています。
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