読者の皆さんは、ラストワンマイルという用語をご存知でしょうか。
「物流や通信で、事業者と家庭を繋ぐ、最後の区間」という意味の単語です。
特に物流においては、お客様へ商品を届ける最後の区間を指します。
普段、どのくらい「ラストワンマイル」を意識して生活を送っているでしょうか。我々は色んなサービスに囲まれ、便利な技術に囲まれて暮らしています。一度、区分けの一つとして、この「ラストワンマイル」という考え方をベースに、仕分けしてみると面白いと思います。
例えば、食品(スーパー)の場合は、自分でスーパーマーケットまで買い物に行って、自分で家庭まで荷物を運びますよね。これはスーパーマーケットまでは、効率的に物流センターから配達業者が届けてくれているお陰です。しかし、スーパーマーケットから自宅までは、自ら運搬する作業は残っています。この場合は、ラストワンマイルを自分で対応した、と考えることが出来るのです。絶対に欠かすことのできない作業です。
人が生きるのに必要な日用品だったり、服飾品といった身に付けるものに関しては、どうしても物質を自宅まで運んでもらう必要があるため、自分で運ぶか、他人が運んでくれるかは別として、ラストワンマイルは何かしらの形で実施することが不可欠です。もし、楽天市場やAmazonで靴を購入したとしても、彼らが提携している配送業者が、直接自宅まで運んでくれますよね。書籍を購入した場合であっても同じです。何かしらの配送を経ることで、自宅に届くのです。
以前は、在宅率が少なく、何度も自宅に運ぶことが、宅配業者の負担になる、と問題になっていたことがありましたが、昨今は新型コロナの関係で、在宅率は向上しており、以前ほどロジスティクスの問題は言われなくなったのではないでしょうか。米国だとドローンを活用して、配送センターから、顧客の自宅まで運送を手掛ける実証実験も行われているようです。
個人的には、このラストワンマイルを自動化するといった作業は、国土が狭く、人口密度が高い日本において、そこまで必要なのだろうか、と考えたりします。
田舎でこそ必要になる機会はあるかもしれませんが、都会の大半では近くにスーパーマーケットやドラッグストアは過密しているように存在しています。ここまで在宅率が高くなった今、そこまでラストワンマイルに拘る必要も無くなったのでは、とも思うのです。
改めて、「我々がラストワンマイル、という時に、それは一体何にリソースを使っているのか」、それをよくよく考えてみたいと思います。
前述のスーパーマーケットや、ドラッグストアは必要です。しかし、それ以外で必要なことってそこまで多くない気がするのです。
例えば、医療では、薬剤だったり注射器といった医療物質が既に病院まで運ばれており、ここまでの物流は必要ですが、私たちが医療行為を受ける時、遠隔医療でもない限りは、私たちはそこまで向かいますので、ラストワンマイルという概念は存在しません。
他には、光熱費(電気、ガス、水道)も点検では作業員の方々が来てくれますが、それ以外の検針等では昨今必要がないケースが増えていますし、携帯電話もそうです。また、オンラインで済むものの多くは、ラストワンマイルの必要がそもそも無かったり、途中の物流も大幅に省略してくれます。
クレジットカードで電子決済をすることによって、私たちは、現金をラストワンマイル、つまり自分の財布まで運ぶ手間を削減できます。これもある意味、銀行業におけるラストワンマイルの削減ですし、銀行の支店までの現金輸送の削減、と言ってもいいかもしれません。
私が愛用しているオンライン英会話では、講師に会いに行く必要がないため、物流の必要はありませんし、街の英会話教室への講師が赴く、物流も存在しません。一度、自分が支払っているサービスにおいて、ラストワンマイルがどの程度必要になっているのか、店舗までは物流が存在しているからサービスを享受できるのだ、と思うと、興味深いと感じています。
一方で、絶対に物流が必要なものと考えると、それは日用品です。ドラッグストアの洗剤だったり、シャンプー、石鹸、トイレットペーパーといったものは、我々が持って帰ったりで、ラストワンマイルを自分たちで対処しますが、そこまで持ってくる物流が必要です。
アマゾンや楽天は、端末の操作や購買自体は、ほぼオンラインでできますが、宅配業者に最終的に物を運んでもらう必要はあるため、ここでラストワンマイルの作業が必要です。昨今では、在宅の頻度があがり、比較的自宅にいることが多いといっても、自分でやる代わりにお願いするのです。
知恵を絞って、なるべくラストワンマイルの作業が必要がないサービスを選ぶということは、様々なコストカットにも繋がります。意外にも大事なことなのではないでしょうか。
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