日本郵政と楽天が資本業務提携を実施

楽天モバイル

楽天が、2021年3月12日に、日本郵政との資本業務提携を発表しました。

これは、楽天にとって、有利でポジティブな提携だと考えています。

12月に既に業務提携が発表されていましたが、この3か月の間に、楽天の三木谷会長から日本郵政に対して、資本提携の打診がされていたそうです。

また同時に、中国のEC大手の一つ、テンセントへの増資も公表されています。

楽天の主力事業で、祖業でもあるEC事業は、いま物流に大きな問題を抱えています。その物流面を改善するため、楽天自身も物流センターへ大型投資を行ったりしていますが、このタイミングで、日本郵政と組むということは、かなり前向きなことになりそうです。もちろん、日本郵政だけと付き合っていく訳ではありませんが、日本郵政としても、楽天の大型需要を確実に見込めるのは、郵便事業において、大きな固定客を獲得できる、という想定が働いたのでしょう。

議決権ベースでも、日本郵政は8.35%もの株主になります。創業者の三木谷さん、同族会社、ご家族にて、30%以上のシェアを保有しています。日本郵政の大株主は、財務大臣になるわけで、間接的に、国の意向が反映される可能性はある、とは思います。しかし、経営判断に決定的な干渉もないでしょうし、楽天からすれば、増資で大型の資金を獲得でき、郵便局の販路も獲得でき、かなりメリットが多いはずです。

発表された資料によると、今回得られた資金2,400億円は、そのすべてが、楽天モバイルの基地局整備に使われると言うことです。具体的には、2021年12月までに、4G基地局整備に1840億円、5G基地局整備に310億円、4Gと5G共通の設備に250億円、との記載があります。

楽天モバイルは2月に、追加で2-3,000億円もの設備投資を増加させることを発表しており、参入当初の5-6,000億円という目安から、かなり上振れしていますが、この追加費用分を、賄ってきた、ということでしょう。他の携帯キャリア、ソフトバンクが言うには、携帯事業には数兆円もの投資が必要、とのことですし、まだまだ上振れする可能性はあると予感させます。総務省も、免許を与える時に、本当に5千億円で実現できると思って、免許を与えたのか、少し疑問に思えてきますね。

本格的に5G設備に投資が必要になった時、楽天がどのように工面するのかも注目だと思っています。

さて、現時点での両社での決定事項は、次のことくらいなのでしょう。

 ・日本郵政から、楽天に1,500億円の出資
 ・郵便局の建物に、計900局の携帯用基地局を整備(既に400局は開設済)
 ・郵便局に、楽天モバイルの契約ブースを設置
 ・日本郵便の配達員が、楽天モバイルに関するマーケティング施策(チラシ等)を実施
 ・共同の物流拠点の整備
 ・共同配送や受取サービス
 ・楽天と日本郵政で人材の相互交流(DX)

私のブログでは、既に12月に業務提携をした時に、郵便局の上に基地局を設置したら、面白いのでは、と書いていましたが、どうやら既に実績があったようです。

郵便局の建物が高層ビル、という訳でもないので、近接の広域範囲をターゲットにした基地局なのでしょうが、こうやって場所を確実に確保できることは、今後の基地局の運営上、とても前向きに働くと考えられます。

今回の発表時点では、まだ「物流」「携帯」「人材交流」の3点しか語られておらず、今後の施策は4月以降に協議する、と発表されています。日本郵政と楽天は、銀行といったフィンテックビジネスでも競合するポジションです。ゆうちょ銀行は、1億2千万もの口座数があり、楽天銀行の1千万口座数とは、文字通り、数が違います。

楽天としても、例えば、QRコード決済の、楽天PayとゆうちょPayを連合させていく、日本で有数の規模になった楽天カードと、ゆうちょ銀行を融合させていく、などフィンテック施策も考えているでしょう。

1ユーザーとしては、日本郵政のブランドを利用し、

 ・ゆうちょ銀行の銀行口座と、楽天銀行デビットカードを融合
 ・楽天カードへの引き落とし口座に対象した場合に、SPUを付与

といったことを注目しています。

私も仕事で接する機会がありますが、楽天の人材は、とにかくスピードがあり、器用にオペレーションをするイメージがあります。

一方で、日本郵政の方々、特に郵便局の方々は、どうしても配達という公的な業務を行っていたり、また古風な業務に忙殺されている印象があり、人材交流が上手く図れるのか、という点は少し不安があります。恐らく、郵便局員に、(たとえワンプランとは言え)携帯電話の煩雑な料金説明を行わせるのは厳しいので、消費者金融のブースのように、遠隔で契約させるようにするのでしょう。

地方の人にとっては、楽天モバイルを郵便局が案内するということは、安心感に繋がりますし、大手3キャリアショップの数倍の規模、郵便局は津々浦々に存在するため、携帯事業を伸ばしたい楽天にとって、楽しみな提携だと思います。

電波の割当含め、まだまだこれからの事業ですが、この提携が飛躍の第一歩になるかどうか、注目です。

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